千葉市『千葉県立中央博物館』の展示で房総の海と人々のお祭り「おはまおり」の魅力を知ろう!

千葉市にある『千葉県立中央博物館』は千葉県の自然と人間をテーマにした博物館です。常設展の他、様々な企画展が催されており私もよく見にいきます。
2022年10月22日から2023年1月9日までは、「おはまおり」の魅力に迫る秋の展示「おはまおり~海へ向かう神々の祭~」が開催されています。
「おはまおり」って何?と思った私は12月上旬に展示を見に行ってきました。

秋の展示「おはまおり~海へ向かう神々の祭~」の情報
【開催日】2022年10月22日(土)~2023年1月9日(月・祝)
【会場】中央博物館第1企画展示室ほか
【開館時間】9:00〜16:30(最終入館 16:00)
【休館日】月曜日(1/9(月)は開館)、年末年始(12/28(水)〜1/4(水))
【入館料】一般300円、高・大学生150円
【駐車場】
「青葉の森公園北口駐車場」(有料)が便利
※青葉の森公園駐車場の案内→駐車場のご案内|千葉県立青葉の森公園
・『千葉県立中央博物館』企画展「おはまおり」のホームページ→令和4年度秋の展示「おはまおり」|千葉県立中央博物館
・『千葉県立中央博物館』公式ホームページ→千葉県立中央博物館
「おはまおり」は海と共に生きる千葉県民の暮らしに根付く文化
展示で紹介している千葉県内の様々な祭礼。
「おはまおり」のお祭りを私は実際に見たことがありません。
今回の展示で初めて知りました。
一体どんなお祭りなのでしょうか?
「おはまおり」とは神輿が海や水辺に向かっていくお祭りだそうです。
東日本の太平洋岸に多く見られ、「おはまおり」のほか「しおふみ」「おはまで」とも呼ばれています。
海に向かって神輿が進んでいくなんて、とても珍しいお祭りだと思っていましたが、リーフレットを見ると千葉県各地で行われていました。
私の住む市でも行われていると知ってびっくり!
海と共に生きる千葉県民の暮らしに根付いており、各地域で様々な形で催されてきたのですね。
「おはまおり」には人々の安産・子育て、豊漁豊作、疫病退散などの願いが込められているそうです。
皆さんの住んでいる地域ではありましたか?
学芸員による解説が無料で聞ける!
『千葉県立中央博物館』に入ってすぐ左にある入場券売り場で入場券を買い、企画展示会場の中へ入ると、ちょうど学芸員による展示の解説が行われていました。
『千葉県立中央博物館』では、担当学芸員による展示解説を無料で聞くことができます。
詳しく解説してくれるので、展示内容を深く知ることができます。
興味がある人は是非利用してみて下さいね。
【担当学芸員による展示解説】
金額:解説参加は無料(要入館料)
期 日:12月25 日(日)、1 月 7 日(土)、9 日(月・祝)
時 間:11:00 ~ 11:30、14:30~15:00
千葉県の「おはまおり」で使われた神輿
それでは、展示の一部をご紹介します。
展示会場内で一番に目を引いたのは、何といっても神輿です。
安房神社(館山市)の神輿。
安房神社の神輿は担ぎ棒を台座に貫通させず、通常より厚みの薄い台座の下に当てて金具で止め、晒のたすきでしっかり締めてあります。
祭りは神輿を大きく左右に揺らす「揉み」が特徴的で、神輿を高く掲げる「差す」時には「おとい、おーとい」と掛け声をかけるそう。
貝須賀鹿島神社(いすみ市)の神輿。
宝珠の上にオオトリ(鳳凰)を乗せるのはいすみ地域周辺の独特な形だそうですが、担ぐ時はオオトリを外し宝珠だけになります。
安房神社の神輿と違い、ちりめんのたすきが掛けてありますね。
三ツ堀香取神社(野田市)の神輿。
昔、利根川の洪水で流されてきた大木を、村人達が引きあげ神輿に仕立てたと伝えられています。
「三ツ堀のどろ祭り」では担ぎ手の若者が神輿と共に神池に三度まで飛び込み、子供達に泥の塊を投げられ泥まみれになります。
泥で汚れた神輿は最後に利根川で清められるそうです。
特色ある様々な神輿が展示されており、とても迫力がありました。
神輿を担ぐお祭りの様子も動画で紹介されていました。
学芸員の解説によると、房州の神輿は江戸(東京)の神輿の形とは違うそう。
江戸のお神輿はたいてい担ぐための棒が4本あるのに対し、房州の神輿は多くが2本です。
さらに、4本棒の神輿が上下に揺らすことが多いのに対して、房州の神輿は主に左右に揺らすという特徴があります。
房州の神輿は台座よりも屋根を大きく作ってあり、左右に揺らすとより迫力を感じられるつくりになっています。
玉依姫命(たまよりひめのみこと)と寄り石の信仰
次に私が興味を持ったのが、玉依姫命と寄り石の信仰についてです。
展示には銚子から九十九里にかけて玉依姫命をご祭神とする神社が多くあると書いてありました。
玉依姫命とは日本神話に出てくる海の神様の娘で、神武天皇の母親と言われています。
また、神様の依り代となる巫女という意味があり、神様の子供を宿す役目を負います。
その為、子宝や安産、豊漁のご利益があると信じられてきました。
寄り石の信仰とは、海から漂着する丸い石や穴の開いた石は神秘的な力によるものだと考え、祀ることだそうです。
寄り石も子宝や安産、大漁、地域の繁栄をもたらすものと考えられています。
学芸員の解説では「当時の人々は海の向こうから恵みが運ばれてくると信じていました。そのため、海の中にある丸い石を信じていました。」と言っていました。
確かに昔の人々が神として信仰していた対象には、海の中にあったものや、海にちなんだものが多く存在します。
「おはまおり」の展示では玉依姫の木像や、寄り石である子産石(こうみいし)、猿田神社の祭神である猿田彦大神が乗ってきたとされる穴の開いた霊石、御船石(おふないし)など、海にまつわる信仰についても展示もされており、興味深く見学できました。
房総の祭りに使われた数々の祭具が展示
他にも祭礼に使われた数々の道具が展示されています。
これは南房総市千倉町の白間津地区で4年おきに行われる「白間津の大祭」(しらまづのおおまち)で使われる衣装です。
このお祭りは神様の「仲立ち」として選ばれた二人の少年、日天・月天がお祭りの中心となり進行していきます。
向かって左が月天(月の神様)・右が日天(太陽の神様)です。
神輿の行列に加わる獅子もたくさん展示されていました。
獅子は神輿の通る道を浄める役目があります。
関東地方を中心に広まる「かっこ舞」は3頭の獅子がお腹に括りつけた太鼓を打ち鳴らしながら舞うことで知られています。
祭にまつわる貴重な資料や道具が他にもたくさん展示されており、とても見応えがありました。
「おはまおり」に見る海と人の深い関係
房総の人々にとって海は生活する上でかかせない存在です。
生命の源であり豊かさの象徴、畏怖の念と共に感謝を捧げる対象でした。
秋の展示「おはまおり~海へ向かう神々の祭~」では海への信仰を生活の一部としてきた房総の人々の文化と歴史を肌で感じ、海と人の深い関係を知ることができました。
現在、地方の祭事は少子高齢化が進み、神輿の担ぎ手がいないなど祭りの継承が難しくなっているそうです。
日本の伝統文化であり、私たちの生活に根差したお祭りが消えてしまうかもしれないのはとても寂しいですよね。
「おはまおり」をはじめとする日本のお祭りが後世まで続くことを願っています。
皆さんも是非、『千葉県立中央博物館』の秋の展示「おはまおり~海へ向かう神々の祭~」を通して、海と人の深い関係に思いを巡らせてみて下さい。
※『千葉県立中央博物館』の常設展に関してはコチラをご覧下さい→子供と一緒に楽しく学べる超穴場スポット!千葉市『千葉県立中央博物館』の見どころ5選
店舗名 | 千葉県立中央博物館(ちばけんりつちゅうおうはくぶつかん) |
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住所 |
千葉県千葉市中央区青葉町955‐2 |
電話番号 | 043-265-3111 |